73.負の遺産

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リュウは何も言わなかった。怖くなるくらいの無言。 「…リュウ?」 「ミオ…」 思い詰めたような声でリュウが口を開いた。 「俺といるのが嫌になったの? 俺が…俺があいつと付き合ってたから…俺がミオを苦しめてるの? どうすればいいんだろう…俺… 戻ってきてよ、ミオ。ミオがいないと俺、どうかなっちゃいそうだよ…ミオがいなくなったらどうすればいいのかわかんないよ。」 「ごめんね。」 リュウのそばにいたかった。二人で痛みをなぐさめあえばいいことなんだと気づいた。私の家族も小野田も私の人生から消してしまえば。 消すことが出来ないならせめて遠ざかっていよう。リュウがいればいい。 家族なんて私にはいらない…私に必要なのはリュウだけ… どうしてそんなことを忘れていたんだろう。一番はっきりしていることに今、改めて思い当たるなんて…
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