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「誰を連れて来ようと思ったの?」
痺れを切らした兄が私に聞いた。
私はじっと兄の顔を見つめながら口を開いた。
「妹。」
「は?」
「私たちの妹にあたる人。小野田美保っていう…」
「なんだって?」
今度は兄が私の顔をまじまじと見た。まるで私が気がふれてわけのわからないことを言い出したとでも言うみたいに。
「小野田美保。お父さんの隠し子。」
兄はうっかり変な味のものを口にしてしまったけれど、咀嚼出来なくて吐き出そうか飲み込むか迷っているかのような表情を浮かべた。
「隠し子?小野田なんだって?」
兄はおうむ返しに私に言った。
「小野田美保。私にそっくりなの。」
私は言った。
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