73.負の遺産

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兄は椅子から立ち上がって部屋を出ていこうとした。 私は気が重くてまだベッドに座っていた。 「なんだ、お前行かないのか?お前に呼ばれて来たんだぞ。」 兄が言った。 私は渋々、兄の後から階段を下りた。 父はまだ靴を履いたままで私達には背を向けて玄関に座っていた。心持ち俯き加減のようだ。 「お父さん。」 兄が声をかけた。 「ミオの話が要領得なくて全然意味がわかんないんだけど説明してくれよ。 どうなってんの、いったい。」 父はそれには答えずに靴を脱いであがり洗面所に行った。
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