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「どういうこと?」
小野田の言っていることの意味がよく飲み込めなかった。
「言ったとおりの意味よ。あなたの母親は私のママからパパを取ったの。少なくともママはそう言ってた。パパをあなたの母親に奪われたって。あなたの母親が妊娠したから結婚することになったって。でも結局パパは結婚後もママと続いていた。ママもパパを諦めることが出来なかったって。」
自分の耳に聞こえてくる話がとうてい自分の親のこととは思えなかった。まるで昼ドラや2時間モノのサスペンスドラマの安っぽいシナリオを聞かされているようで、どうにも受け入れがたい。ほとんど無意識に歩いていると家の前まで来ていた。
「ここ?」
立ち止まった私に小野田が聞いた。
「そう。」
私はまた無意識に返事をした。
「…すごい。大きな家…。」
インターホンを押す私の後ろで小野田が呟くのが聞こえた。
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