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「ミホ…」
父の顔は驚きと戸惑いと困惑と、それとともに紛れも無くそう、感動しているような、泣き出しそうな、なんとも表現しがたい表情になった。
私はまた小野田美保を振り返ってみた。
小野田の大きく見開かれた目がみるみるうちに涙で潤んで、緊張していた顔全体が苦しそうに歪んだ。
小野田はそのままじりじりと後ずさりするとくるりと後ろを向いて門のほうへ駆け出した。
「ちょっと…」
私は急いであとを追った。父も慌てて玄関から出てきた。
門の外で小野田を捕まえた。父があとから追いついて脇に立った。
「ミホ。」
父は小野田を腕の中に抱いた。小野田は振りほどこうと抵抗していたがやがて父の腕の中で泣き崩れた。
私は目を逸らした。
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