彼女は強いのに

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パコーン パコーン サクヤ「…切原、もうちょい右狙ってみて。」 パコーン シュッ アカヤ「おぉぉっ!!入った!!スゲーな、楢崎!!」 サクヤ「………次、仁王先輩。」 今俺達R陣がやっているのは壁打ち。 しかも壁に空いたテニスボールがギリギリ入るくらいの穴を通す練習だ。 順番に打ってって、マネの楢崎さんにアドバイスをもらう。 楢崎さんのアドバイスは適格で、実行すると必ずうまくいく。 サクヤ「…次、部長。」 ユキムラ「わかった。」 無愛想で可愛げのない後輩だけど、一応俺の好きな人。 パコーン シュッ サクヤ「…お見事。」 ユキムラ「ふふっ、ありがとう。」 今日は一発で通ったし、告白、してみようかな? <部活後> 俺は忘れ物を取りに行ったという楢崎さんを探しに校舎にいる。 楢崎さんの教室に行ったけれどいなかった。 入れ違いになったのかな? 今日はもう諦めようかな、と出口へ足を向けた。そのとき、 「ウザいのよ!!」 「いい加減にしなさいよ!!」 「………っ…痛…」 予備教室の方から聞こえる女子の罵声。 そのなかに聞こえる微かな声。 その声は、 サクヤ「……痛い…」 「うっさいわね!!」 「その腕、使えなくしてあげる!!」 楢崎さんその人だった。 そう気づいた瞬間、俺の足は動いていた。
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