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<予備教室>
ガラッ
「「「!!!???」」」
ユキムラ「ねぇ、何してるの?」
予備教室に着いた俺は扉を開け、そう言った。
もちろん笑顔で。
女子生徒達はこちらを見たまま何も言わない。
そいつらの中心にいたのは、
サクヤ「……嫌…やめて…ごめん、なさい。」
震えながら踞る、楢崎さんだった。
たぶん一人の振り上げている棒に怯えてるのかな。
よく見れば涙が確認できた。
その瞬間俺の顔からは笑顔が消える。
ユキムラ「………消えろ。」
「「ひっ…」」バタバタ…
一言で女子生徒達は顔面蒼白にして逃げていった。
ユキムラ「…楢崎さん、大丈夫?」
サクヤ「……ごめんなさい、生きていて、ごめんなさい、ごめん、なさい…」
いつもクールで無愛想な彼女がそこにはいなかった。
いるのは怯え、震え、涙をこぼす一人の小さな少女。
次の瞬間、俺は楢崎さんを抱き締めていた。
サクヤ「ゆ…き、むら?」
ユキムラ「…………。」
感じる小さな温もり。
今離したら、消えてしまう気がして離せなかった。
逆に、力をいれてしまう。
ユキムラ「…俺は、君を傷つけたりしない。」
サクヤ「ビクッ)」
俺の言葉に肩を震わせる楢崎さん、いや、朔夜。
腕に力を込めると、シャツが湿った。
朔夜、濡れてる。
周りに水が飛び散ってるから…水でもかけられたのか?
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