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ナツメ「はぁっ…はぁっ…」
おれは今、友人帳を狙う妖怪から逃げている。
かなり離したからしばらくは大丈夫…だと思う。
ガサッ ………サァァァ…
ナツメ「……紅葉?」
しばらく走ると広い場所に出た。
丘の中央にそびえ立っている大木、それは季節外れの紅葉だった。
ナツメ「今は春だぞ?なんで紅葉が…。」
近づこうとした瞬間
《見ツケタゾ友人帳!!》
ナツメ「っ!!はなせっ!!」
妖怪に腕を掴まれた。
ったく…先生は本当に用心棒なのか!?
腕を必死に振り払い、走った。
ガッ
ナツメ「っ…!!」
《友人帳ヲ寄越セー!!》
ナツメ「うわぁぁぁっ!!」
大木の根につまずき、転んだおれに妖怪が襲いかかる。
ごめん…先生、田沼、多軌、滋さん搭子さん…名取さん…皆…
目を瞑り死を意識した。
でも痛みはいつまでもこない。
目を開けると
アカナギ「……大丈夫ですか?レイコ。」
ナツメ「……妖怪?」
髪の長い、紅葉柄の着物に紅葉の髪飾りをつけた女性がいた。
レイコさんの名を出すかぎり妖怪だろう。
ナツメ「いや、おれは貴志。レイコは祖母だ。」
アカナギ「あぁ、ごめんなさい!!貴志君、でいい?私は紅凪。レイコの友人です。」
穏やかで安心できる笑顔を浮かべる紅凪。
おれも少し微笑む。
アカナギ「あぁ…レイコにそっくり。よろしくお願いしますね。」
おれ達は握手を交わした。
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