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シノ「失礼します。」
チヒロ「ん。」
千尋の隣に腰掛ける。
桜の匂いのする風が、私の長い髪を弄んだ。
チヒロ「……………。」
シノ「………………。」
ペラッ ペラッ
と、ラノベのページを捲る音だけが響く。
私は千尋が好き。
でも、告白はしない。
千尋はそういうの興味なさそうだから。
しばらく読んで、私は立ち上がった。
シノ「じゃあ千尋、私先に行くね。まさかとは思うけど、サボらないでよ?」
屋上の扉に手をかけた。
そのとき、
チヒロ「……行かせない。」
シノ「…え?」
ドンッ
やけに至近距離で千尋の声がしたなと思って振り向いた瞬間、私は扉と千尋の間に挟まれていた。
左には千尋の腕が伸ばされ、逃げられない。
世に言う壁ドンというヤツだ。
シノ「ち、千尋?//」
チヒロ「……赤くなるなよ。」
シノ「え…?///」
千尋の顔が、近い…///
チヒロ「勘違いするだろ。」
千尋は小声でそう言った。
その声は、少し寂しげだった。
というか、
シノ「……勘違い、して、いいよ?///」
チヒロ「……は?」
だって、
シノ「私も千尋のこと、好きだから…////」
チヒロ「………!!!!!////」
千尋の顔が真っ赤に染まる。
それと同時に壁ドンからも解放されていた。
シノ「あ、じゃあ、行くね!!///」
チヒロ「あ、おい!!」
バタンッ ダダダダダ…
私は照れ隠しの様にその場から逃げ出した。
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