闇を駆ける

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<階層入口> ワラワラ ツクモ「ありゃ、人がいっぱいだ。」 ジュン「えぇーまたかよー!?」 階層入口は大勢のプレイヤー達で賑わっていた。 大方チームの集合を待っているとかその辺りだろう。 その一角に、ツクモが近付いた。 ツクモ「ねぇオジサン。」 モブA「オ、オジサン!?」 ツクモ「階層攻略したいんだけど。退いてくれないかな?」 オジサン呼ばわりにショックを受けた大男だが、攻略したいというツクモの言葉に眉を潜めた。 モブB「おい嬢ちゃん見てわかんねぇのか?この階層は俺らが攻りゃk………」 その男性の言葉は最後まで続かなかった。 なぜなら、 ツクモ「まだ集まってないんじゃん?いいでしょ?」 日本刀を構えた笑顔のツクモにPKされたからである。 男達の集団に衝撃が走る。 モブA「……っ!!てめぇっ!!」 モブC「覚悟しろ!!」 「「「うぉぉぉぉ!!」」」 最初に我に返った男を筆頭に、モブ達が剣なり斧なりを構えてツクモに襲いかかる。 ツクモ「……我、闇を知る者なり。汝、呼び掛けに応えその扉を開けよ…汝の名……悪炎神、ロキ!!」 詠唱が終わると、彼女の周りに黒い炎が吹き荒れた。 炎が晴れるとそこには、 ロキ「久し振りー♪」 ツクモ「ロキ暑い。」 ロキ「ツレないねぇーツックーは。」 ツクモの肩を親しげに抱く、髪も服も赤と黒の二色で構成されているイケメンがいた。 ユイ「パ、パパ…!!」 キリト「あ、あぁ…今、ロキって…」 ロキ。北欧神話にて光神バルドルを殺し、大狼フェンリルや大蛇ヨルムンガルド、そして冥界の女王ヘルを生み出し、ラグナロクの発端となった悪神。 それを目の前の猫耳少女が軽々と呼び出して見せた。 その事実に呆然となる一同をよそにツクモは笑顔で言った。 ツクモ「ロキ。」 ロキ「んー?」 ツクモ「前方の集団、殲滅だよ。」 ………笑顔で言った。 ロキ「……りょーかいっ。」 パチンッ 少しの沈黙の後、ロキの指パッチンと共に、地獄の黒炎がモブ達を襲った。 ゴォォォオ ギャアアアア…… 黒炎が消えると、入口を塞いでいた大勢は消え失せていた。
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