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ズバッ
アカナギ「………っ!!あ……」
ナツメ「紅凪ぃっ!!」
一閃。
一気に散る紅葉。
それは彼女の生命。
おれはすぐさま妖怪を振り払い、駆け寄った。
ナツメ「紅凪!!しっかりしろ紅凪!!」
アカナギ「…貴志君、ごめん…もう、守れないや…」
ナツメ「何でだ!!何で紅凪が謝るんだよ!!」
守れなかったのはおれの方なのに…!!
もしかして…友人帳を狙う妖怪からおれを守ろうと…!?
そんなおれの気持ちを悟ったのか困ったように微笑む紅凪。
的場さんは、いつのまにかいなくなっていた。
アカナギ「…急所は避けられたみたい。しばらく話せるね?」
ナツメ「そんな!!それじゃこれでお別れみたいだろ!?」
アカナギ「…………貴志君…。」
紅凪は微笑んだまま、おれの顔に手を伸ばしてきた。
アカナギ「…泣かないで、私の大切な人。私の…初恋の人。」
ナツメ「!!!!紅凪……おれも…」
紅凪がそう言うのなら、おれも自分の気持ちを言おう。
ナツメ「おれも君が、好きだ!!」
アカナギ「…………ありがとう。でも君は、私がもう守らなくても大丈夫そうだね。君には友達がたくさんいるじゃない。」
紅凪が言い終わると同時に、一斉に紅葉が散りだした。
紅凪の身体も光に包まれる。
ナツメ「イヤだ!!紅凪!!往くな!!」
アカナギ「幸せに……貴志。」
咄嗟に紅凪を抱き締めるが、紅凪は光となって消え、おれの腕は空をきった。
同時に、後ろの大木が倒れる。
それは紅凪が死んでしまったと言っているようで、
ナツメ「紅……凪……っ……っく」
涙が溢れた。
大木の下で、君と過ごした時間はもう戻らない。
Fin.
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