拝啓主へ。

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サァァァ…… 海の見える丘の一番上。 大きな桜の巨木の下。 ひっそりと建てられた小さなお墓。 俺達……加州清光と大和守安定は内番の合間に墓参りに来ていた。 お墓に手を合わせ、この墓の主である沖田尤李の事を思い出す。 あれは、約1年半前…… ―――― ユウリ「はじめまして、私は沖田尤李。よろしくお願いします。」 キヨミツ「俺、加州清光。川の下の子河原の子ってね。っと沖田!?」 ユウリ「えぇ、先祖は沖田総司の姉であるみつです。」 そういってふわりと笑った尤李。 その笑顔はまさしく元主の沖田総司にそっくりだった。 ユウリ「はじめまして。」 ヤスサダ「僕は大和守安定……お、きた、君………?」 ユウリ「沖田総司は私の先祖の弟ですよ。私は沖田尤李、よろしくお願いしますね。」 ヤスサダ「沖田君…と同じ笑顔……。」 そのあと直ぐに安定がやって来て。 アイツ、泣いてたな。 当然俺達は尤李にくっついて回った。 尤李はいつも笑ってて、俺達も自然と笑ってた。 ユウリ「もー、暑いよ、清光。」 キヨミツ「だって馬当番疲れたー。」 ヤスサダ「尤李、お茶淹れたよ。」 ユウリ「ありがとう、安定。」 それから時が経って、 イマノ「ぼくは、今剣!」 イズミ「オレは和泉守兼定…っと、これぁまた沖田にそっくりなお嬢ちゃんだな。」 ミツタダ「僕は、燭台切光忠。」 ツルマル「鶴丸国永だ。」 コギツネ「小狐丸と申します。」 ムネチカ「俺の名は三日月宗近。」 半年も経つ頃には本丸は随分賑かになってたっけ。 三日月のじいさんとかホント手合わせし辛いって安定が叫んでた。 俺も何回鶴丸さんに驚かされたか……あのびっくりじじいめ…。 ともかく、俺達は有り得ないくらい幸せな、幸せ過ぎる時間を送ってた。 だから、だからこそ、それが壊れるのは、一瞬だった。
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