拝啓主へ。

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ガシャン!!! カセン「主っ!!!」 コギツネ「ぬしさま!?どうなされたのです!?」 ダダダダダ…… バァンッ キヨミツ「尤李ッ!!!」 ヤスサダ「尤李は!?」 馬当番を終わらせ、片付けをしていた俺達は、尤李が喀血して倒れたことを聞いた。 大急ぎで部屋へ向かうと、そこには青白い、生気の無い顔で眠る尤李。 石切さん曰く、まだ生きてるらしい。 ただ、呼吸が浅かった。 ミツタダ「突然咳き込んでね、そしたら大量の血吐いて倒れちゃって…。」 真横で、安定が息を飲む音がした。 ……労咳。現代で言う結核。 咳に喀血ときて、俺達の頭に浮かんだのはその病名だけだった。 キヨミツ「尤李!!尤李!!」 ユウリ「……ぁ……き、よみつ…?みんな、まで……。」 「「「主っ!!!!」」」 弱々しく目を開けた尤李。 弱々しく笑った尤李。 ………馬鹿。 キヨミツ「馬鹿尤李!!」 ヤスサダ「っ!?おい、清光!?」 安定の静止も気にせず、俺は捲し立てた。 キヨミツ「俺達の元主が、どうやって死んだか…ッ…尤李は知ってるだろッ!?なのにっ…なのにっ…!!」 ユウリ「……清光……。」 ぽろぽろと、俺の頬を熱いものが流れ落ちた。 その片頬に、尤李の手が触れた。 思わずその手を握る。 …冷たかった。 ユウリ「…安定も…泣かないで…?私まで…悲しい、よ…。」 キヨミツ「尤李…。尤李…。」 ヤスサダ「嫌だ…嫌だよ尤李…。」 同じように尤李の手を握り、その手に頬を擦り寄せるように泣いている安定。 いつの間にか、他の皆はいなくなっていた。 キヨミツ「ねぇ尤李?また、桜見に行こうよ?」 ユウリ「…そうだね…。彼処の桜…綺麗だったね……。」 キヨミツ「でしょ?だから…だからッ!!…早く…元気に…!!」 それはもう懇願に近かった、と思う。 もう、主を失うのは、嫌だ。 怖いんだ。 尤李は、 ユウリ「…清光…安定……もう、泣いちゃ……駄目……だ…よ……」 もう一度、ふわりと。 俺達が大好きだったあの笑顔で笑って。 キヨミツ「尤李……?ねぇ…尤李?…嫌だよ…起きてよ……ねぇ…尤李ッ!!」 ヤスサダ「…ぅ…あ…ッ」 「「ぅああああああぁぁぁぁッ!!!!!」」 力尽きた。
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