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高華国から遠く遠く離れた霧の森。
そこには、幽霊が出るという噂があった。
ヨナ「…ここが、霧の森…?」
ユン「そうみたい。」
ハク「しっかし…なんつーか、不気味だな。」
ヨナ姫御一行は、ゼノの話した「黒龍」を探すため、霧の森に来ていた。
ユン「キジャ、黒龍の気配感じる?」
キジャ「それが…この霧が特殊なもののようで、邪魔なのだ。」
ジェハ「確かに、只の霧のかかる森って感じじゃないのはわかるんだけどね。」
シンア「………ゼノ、わかる?」
ゼノ「いや、白龍達と同じ。でもルインはここにいる。それは絶対だから。」
ユンはゼノの言葉に頷くと、森に足を踏み入れた。
瞬間、
シュッ
カッ
ユン「ぅわっ!?」
ヨナ「ユン、大丈夫!?」
ジェハ「クナイ…?誰だ!!」
何処からかクナイが飛んできて、ユンの足元に突き刺さった。
ジェハがクナイを引き抜いて飛んできた方向に叫ぶ。すると、
《汝ら、力を得んとする者か》
《強欲な人間め。》
《出ていけ。》
《出ていけ。》
《出ていけ。》
霧の中から、男とも女ともつかない幾つもの不気味な声が響いてきた。
ヨナ「…ぁ…っ…」ドサッ
ハク「姫さん!!……ッチ…!!」
あまりの恐ろしさにヨナが気絶したとき、ハクが動いた。
ハク「こそこそしてんじゃねぇ!!」
ビュオッ
《なんと…。》
《此度の人間は、中々…。》
《せいぜい足掻くがよい…。》
ハクの振り回した大刀が霧を払う。
散っていく霧と共に、声も消えていった。
ユン「あ…ありがと、雷獣…。」
キジャ「お、おいゼノ。今のも黒龍の仕業なのか?」
ゼノ「………たぶん、霧のせい…だと思う。ルインは、こんな力無いから。」
ジェハ「霧、ねぇ…。」
一行は、時々ハクに霧払いを任せつつ、奥へと進んでいった。
<???side>
………来訪者。
…最近は、来ていなかったから、久し振り。
…どうせ、幽霊を………
……っ!!!
???「黄…龍……?…それに、他の、龍も…。」
ゼノが、いる、ってこと、は……私、がいる、のを…わかってる…のか。
???「霧よ…。…お願い。」
ブワワッ
霧は、私のイメージを、読み取って…拡がっていった。
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