孤独のココロは

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森の奥地。 その少し開けた場所に、一人の少女が立っていた。 髪は漆黒。 瞳は長い髪で隠れて見えづらいが、閉じている。 ゆったりとした着物に身を包み、左手を長い裾と包帯、右足は包帯で隠している。 そして少女は漆黒の光の宿らない目を開き、言った。 ???「……久し、振り。ゼノ。」 すると、 ゼノ「…久し振り、ルイン。」 ゼノが、茂みから姿を現した。 その後ろには誰もいない。 ルイン「……緋龍、と…四龍、は?」 ゼノ「ルインの気配感じたから、抜け出した!!」 何故か胸を張るゼノに、ルインは少し、ほんの少しだけ微笑んだ。 ゼノ「ルイン、やっと笑ったー。」 ルイン「……!!…う、そ…。」 ゼノ「ほんと。ゼノはルインには嘘吐かないから!!」 その眩しい笑顔に、ルインは昔を思い出す。 ルイン「…ゼノ、は…皆、私をリン、って呼ぶ…のに、ずっと…ルイン、って呼ぶ、ね…。」 ゼノ「ゼノはルインって名前の方が可愛いって思うから!!」 ルイン「っ!!!……ふふ、私…まだ…笑える、ね…。ありがとう、ゼノ…。」 そしてルインがゼノに一歩近付いた。 その時、 ルイン(………誰か、来る…。) ルインは此方に来る複数の気配を感じ取り、黒龍固有の力を使った。 ルイン(……私、は…存在、しな、い…。) そう念じると、ルインの身体に黒い鱗のような物が現れた。 黒龍の力、それは存在感ないし気配を操作出来ること。 ただし、自分を凝視していた相手には無効となる。 ゼノ「……ルイン?」 ルイン「……ゼノ…誰、か…来る、から。…ごめん…。」 突然力を使われたからだろう、吃驚しているゼノにルインは一言謝り、気配とは反対側の森へと消えていった。 その直後。 ジェハ「あ、いたいた。ハク、いたよ。」 ハク「何で俺に言う。姫さん、ゼノいたってよ。」 ヨナ「えっ、本当!?…ゼノ!!大丈夫!?」 ルインが消えた方とは反対側の茂みからヨナ達が姿を現した。 ゼノ「うん、この通り。ゼノは無傷。娘さん、心配してくれてありがとな。」 ヨナ「ゼノは大切な仲間ですもの。当たり前よ。」 ルイン(……ゼノ、…私、は……) 笑い合うヨナ達の声を聞き、ルインは目を閉じ、近くの木へと飛び乗った。 その手に、鈍く光るクナイを持って。 すぐ近くで、ヨナ達の話し声がする。 夜、ルインはヨナ達が夕飯の準備をしているすぐ近くの木の上にいた。 身体には黒龍の鱗が生えている。 ルイン(…そろそろ、かな…) ルインは音も無く木から飛び降りると、灯へ近付いていった。
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