新たな風は

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"誰もいない早朝にグラウンドで走る幽霊を捕まえれば願いが叶う" いつからか、そんな怪談なんだか神秘なんだかわからない噂が学校中で話されていた。 なんでもその幽霊はストライド選手の霊らしい。 滅茶苦茶だね。 でも面白そうだ。 レイジ「と、いうわけで皆で走るついでに調べようか。」 「「「「………はい?」」」」 あはは。 静馬の顔、面白い。 <翌朝> 朝4時半。 俺達西星高校ストライド部はグラウンドの用具庫に隠れていた。 アスマ「あの、怜治さん。」 レイジ「なんだい?」 アスマ「なんで俺達こんなことしてるんすか。」 レイジ「楽しいからさ。」 バン「たっすん、フェイスがこわーいぞ♪」 まぁ、朝早くからグラウンド監視してるばっかだからね。 うーん…やっぱり無理だったかなぁ? 粘ろうか否か悩んでいたそのとき、 カエデ「……っ!!…れ、怜治さん…あれ…。」 アスマ「っ、マジかよ…!?」 楓の指差す先で、銀色の風が揺れた。 ポニーテールにしては長い銀髪。 低い姿勢の走り。 俺達全員の言葉がハモった。 「「「………久我(さん)?」」」 ガラッ バン「め、めーちゃん待つにゃ!!」 カエデ「久我さぁぁぁぁん!!」 ……まぁ、当然楓が飛び出していくよね。 というかあのジャージ花京院のじゃないかな。 シズマ「…花京院の生徒が何故西星に?」 カエデ「久我さぁぁぁぁん!!」 ?「ひゃあ!?」 ………ん? ひゃあ? 楓が走る人影に詰め寄って、その人は驚いたのか声をあげた。 でもその声は明らかに女の子の声。 楓も唖然とした顔のまま固まってる。 レイジ「皆行くよ。」 皆で楓と女の子の所に行く。 近付けば近付くほど、やっぱり久我に似てる。 でも顔立ちは可愛い女の子で、例えるなら……久我を女の子にした感じ? ?「え?え?」 レイジ「突然ごめんね。俺達は西星高校ストライド部。君は?」 いきなり男集団に囲まれて、戸惑う女の子。 名前を聞くと、案の定の答が返ってきた。 ミハル「わ、私は久我心美。心に美しいでみはる、と読みます。」 シズマ「そのジャージは?」 ミハル「私、転校生で。2週間前からなんですけど。前が花京院だったので…。」 シズマ「なるほど。…失礼しました。私は黛静馬といいます。」 花京院からの転校生。 そして、 レイジ「俺は諏訪怜治。部長だよ。君は久我恭介の…」 ミハル「あ、はい。従妹です。」 レイジ「やっぱり。似てるね。」 ミハル「よく言われます…。」 見た目通り、久我の親戚だった。 正直妹かと思ってたけど…従妹かぁ。
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