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<怜治side>
実はもう昼休み、終わってるんだ。
それでも捕まらないなんて、心美ちゃんって本当に凄い子なんだね(笑)
シズマ[…怜治様。あと数秒程で心美さんが到着します。]
レイジ「了解。…ふふ、楽しみだ。」
どうやら心美ちゃんは俺達一人一人の走りを確認しながら逃げているらしい。
あと俺一人って感じかな?
あ。
これもう鬼ごっこじゃなくなってる。
あはは。
ダンッ!!
ミハル「こんにちは、怜治先輩。」
レイジ「………こんにちは。」
吃驚した…。
まさか上から降ってくるなんて…。
見渡せば周りにブロックとかギミックはなくて壁だけ。
つまり…
レイジ「完璧なパルクール、かな。」
ミハル「仰る通りです♪ではあくまで鬼ごっこですので。」
お先に♪といって走り出す心美ちゃん。
うわ、凄いロケットスタート。
さぁ、追い掛けようか!!
<心美side>
後ろから諏訪先輩が来る気配が。
速いですね、やっぱり。
さぁ、勝負です!!
レイジ「ハッ……ハッ……」
ミハル「…ハァ………フッ…」
直線コースが故に、試されるのは単純に走力。
差が縮まってますね…。
このまま捕まってもまぁいいですが。
それはなんだかあっけないし悔しいので!!
ミハル「……ッ!!」
シズマ[怜治様!!]
レイジ「…やっぱり、ねッ!!」
上に思いっきり跳ぶ。が、諏訪先輩は急ブレーキ。
……読まれてた!?
じゃなくて!!
ミハル「よ、避けてくださいッ!!」
ぶつかるっ……!!!
パニックになってバランスを崩した私は、このままだと確実に骨折する体勢で落ちていく。
でもそれ以上に危ないのは真下にいる諏訪先輩です。
諏訪先輩が避けてくれることを信じて覚悟を決める。
が、
レイジ「皆!!」
「「「はい!!」」」
バフッ…
覚悟していた衝撃が来ないどころか、柔らかいものに包まれた。
……あぁ…マットで受け止めたのか…。
呆然とする私の上から諏訪先輩の顔が覗く。
…イケメンデスネ。
レイジ「とりあえず、捕まえた♪ってことで。」
シズマ「授業に食い込んでしまいましたね。遅刻です。」
子供のように笑う諏訪先輩。
困ったお母さんのような静馬先輩。
まぁ、負けちゃったのは悔しいですが。
差し伸べられたその手を、今度はしっかりと掴んだ。
ミハル「……改めて、2年、久我心美です。よろしくお願いしますっ!!」
新たな風は彼らを加速させる。
Fin.
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