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ヒュウガ「…………っ。」
リコ「……要は、ね。」
カントクが涙声で言葉を紡ぐ。
でも、それ以上を言わない。
なら、
ダッ
リコ「黒子君っ!!」
僕は、皆の制止も聞かず、走り出した。
シャッ
隣の病室のカーテンを開ける。
そこには、
クロコ「要………?」
生気の無い顔で眠る要がいた。
クロコ「要、要、要。」
愛しい名前、何度も口にした名前を呼んでも、要は二度と返事をすることも、僕にあの笑顔を向けてくれることはない。
そう思うと自然と涙が頬をつたった。
クロコ「…要…要…っう…」
ただただ泣きじゃくった。
帰らないその人の手を握りながら。
《………テツ君。》
あぁ、ついに幻聴まで…
《…幻聴じゃない。よく聞いて。》
頭に響くその声は愛しい要の声。要は僕に語りかけた。
《テツ君は、誠凛を日本一にするんでしょ?じゃあ、こんなとこで立ち止まっちゃダメじゃん。》
クロコ「要がいなくなるから…」
《…それはごめん。でも私、テツ君を見守ってるから。私が助けたんだから、絶対生きてね?》
クロコ「………わかりました。生きます。」
《ふふっ、それでよし!!じゃあ、ばいばい、……テツヤ、大好き。》
クロコ「っ………」
遠くなる愛しい声に僕は
クロコ「……要、愛してます。」
そう、呟いた。
要、僕はいつまでも、貴女を愛しています。
僕がそっちに行くのは、まだまだ先になりそうですが、待っていてください。
君の声に…永遠の愛を誓おう。
Fin.
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