動き出した歯車

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でも怒ってたのに、すぐに自分を取り戻した彼女の第一声、 「そんな本人の意思のない契約は無効だから」 ってさ。バッサリ。 「はぁ?なんで?昨日あれだけ話して決めたんじゃん? 契約は契約だよ。女の約束に二言ないんでしょ?」 鼻で笑う俺。 「酔っててまともな頭じゃなかったし」 だと思うよ。 でもね? 「だからそーゆーのは理由になんないよって俺が念を押したら、 この契約書があれば、私も必ず約束守れる、 って言ってこの契約書をお互いに書いたんだよね?」 有りもしない事を真顔で言ってさらに動揺させる。 「貴方のご、ご両親とか心配するだろうし、私だって嫁入り前だし。 そう、それにっ! もしこんな契約、実行してばれたりしたら…」 ねえ。 そう言えば俺が少しでも考え直すとか思うわけ? 笑わせないでよ。 「ハハッ、困るのは姉さんだけなんじゃない? 俺は別に困ることなんてないし」 むしろ、その為に近づいてるんだからさ。 「お互い酔っていたとはいえ一度契約したんだし、約束は守ろうよ。 契約期間が終われば全部水に流すし、姉さんの前からも消えてあげるよ。 もちろん、誰にもこんな契約書他言なんてしないからさ。」 契約期間が終われば全部水に流すし、 姉さんの前からも消えてあげる。 ほんとの本当に綺麗さっぱり、ね。 だから今だけは 俺の傍に……なんて思ってるのに、 俺の有りもしない証拠の数々を見せつけられても なおも反抗的で挑発的な彼女。 「と、とにかく私は了承したわけじゃないから!」 しまいには、捨て台詞を吐いて 慌ててホテルを飛び出してった。 プッ。 本当に可愛くない。…けど、面白い。 もっと、俺に困って。 もっと俺を意識して。 もっと俺の事で頭ん中いっぱいにすればいい。 もっともっともっと… 絶対 俺が欲しいとその口に言わせてあげるよ。 貴方が求めてくれるまで 何が何でも諦めないから。 だから ねえ? 「…覚悟しといて」
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