第2話

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そこには、変わらない顔触れがいた。 入院中に迷惑をかけた中年の看護婦。 パソコンと睨めっこをしている担当医のベテラン医師。 「こんにちは」 いつもと変わらぬ表情で挨拶をする。 すると、担当医が此方に振り向き「こんにちは」と笑顔で挨拶を返してくれた。 心が幾分か楽になった。 「汐莉ちゃん、久しぶり。背、伸びたかい?」 驚いたように訊いてきた。 「もしかしたら、伸びたかもしれませ ん」 肩を少し竦める。 「あはは、自分では自覚しないだろうね ぇ」 「そうですね」 穏やかな空気が流れる。
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