17歳・夏・魔法のメイク

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「お願い!琴美、女子、私1人になっちゃうの。 夜の学校であいつらと一緒なんて絶対やだ!怖いよ。 私、部長だから行かないわけにいかないし。 一生のお願いだから、一瞬だけ美術部に入って私と一緒に合宿に参加して!」 放課後の廊下で、中学からの友達(一応)、麻衣に両手で右手を握られて、懇願された。 「…じゃ、夏だけね。」 琴美は仕方なく首を縦に振った。 同じ中学出身の麻衣は、昔から絵を描くの好きで、中学の時から美術部に所属していた。 時々は賞を取ったりしていたらしい。 あまり詳しく知らないのは、当時は友達の友達程度の仲であまり親しくなかったからだ。 偶然、同じ高校に進み、二年で同じクラスになってから、やっと少し仲良くなった。 麻衣は、真面目な優等生だ。 成績も良くて美大に行きたい、と希望する進路もはっきりしている。 パン屋でのバイト料を計算しつつ、大好きな漫画を読み、雑種犬のゴウと遊んで日々なんとなく過ごしているお気楽琴美とは全然違うタイプだ。 でも、会話を交わすようになると、好きな漫画が似ているという共通点があることが分かった。
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