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美術の授業は嫌いじゃなかった。
座って適当に課題をこなしていればいい。
難解な方程式やわけのわからない古文よりずっといい。
麻衣が部長を務める美術部は、学校でもかなり影の薄かった。
三年生部員は既におらず、幽霊部員ばかりで、実質活動しているのは麻衣を含めて数名しかいなかった。
男子は変わり者ばかりで、まともに話せる子はいない、と麻衣は言う。
彼らは協調性ゼロのくせして、夏の合宿に参加するという。
夏休み直前、麻衣は同じ女子部員に裏切られてしまった。
彼女達三人は、もっともらしい理由をつけて、合宿をキャンセルした。
いっせいに。
三人の間で密談があったのは明らかだ。
麻衣は落ち込みながらも、ぼけっとしてて、お人好しで暇な琴美に目を付けた。
「夜は調理実習室でカレー作るんだよ。
皆で協力分担するの。」
琴美が参加することで麻衣は元気を取り戻し、楽しそうに言った。
合宿に参加するのは、麻衣と琴美の他に、二年の男子が二名、一年男子が三名の計七名。
それに引率の顧問教師が同行する。
メインイベントは、二日目の午前中、30分かけて歩いて行く、大きな公園での写生大会だという。
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