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「まあ、あれだ。また今度やろう。 俺が買ってくるからさ、線香花火。な?」 「……」 「よしよし、いい子いい子」 「……」  ふくれっ面のまま頭をナデナデされていると、 「おーい、そこ」  ベンチの周りに集まっていた二年の先輩たちがこちらに呼びかけた。 「はい」  俊輔と拓己がパッと立ち上がる。 「手持ち花火全部終わったからみんなで線香花火しようと思ったんだけど、袋の中探しても見当たらないんだよ。 どっかで見なかった?」 「……」  わたしの頭の上で二人が顔を見合わせる。 「─見てません」  拓己が涼しい顔で答えると、 「うす! 自分も知らないっす!」  俊輔がやけに元気よくそれに便乗した。
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