浮遊感

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そうだ、浮かれているのだ。 間違いなく、浮かれている。 「…浮かれてるよ」 少しだけ、間を開けて正直に答える。 裕二に嘘を行ったって仕方がない。 「ふーん」 返事を聞くと裕二は嬉しそうにクフと笑って、視線を外す。 それ以上の詮索はしてこない。 何で浮かれてるの? どうして落ち着かないの? 聞いて欲しいのに、聞いてはくれない。 今だったら、すぐにでも答られるかも知れない。 照れずに、言えるはずなのに。 「そりゃ良かった」 満足そうに呟くと、ゲームを再開した。 つまんない。 こっち見てよ。 話を聞いてよ。 俺がこんなにも浮かれてて、落ち着かない理由を聞いてよ。 素直な言葉なんて、すぐには出てこなくて、 「そぉいうお前こそ浮かれてんじゃん」 それを少しだけ隠すように、裕二を試すように言った。 「そりゃあ、浮かれてるよ」 こっちを見もせずに答える。 鼻歌までうたってる。
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