夢見

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 横浜にある古いアパートの一室で、杉崎はパソコンを打っていた。  《聡子さん、この間はとても良かったです。あなたは最高の女性だ。また時間を作って会いに行きます。早く一緒になりたいなあ。ところで今九州なんですが、実はちょっと困った事が起こったんです。友達なんですがヤクザの女と逃げているんですけど、もう資金が底を突いたと言って来たんです。僕はたくさん入ったカードは今回銀行の貸し金庫に預けて来たので手持ちが少ないんです。それで申し訳ないんですが5万程彼の口座に振り込みして貰えませんか?次に会った時に返しますから。本当に切羽詰まっているようなんです》  そのメールは、治久が最後の生活費としてボーナスの半分を振り込んだと電話で知らせて来た日にタイミング良く届いた。  (お金かあ。まあ、詐欺なら5万円なんて小さ過ぎる額だよね。いずれ結婚するなら友達も大事にしておかなきゃ)  《あなたの大切なお友達の為ならお役に立ちたいです。何とか用意出来ると思います》  聡子は杉崎の気持ちをしっかり掴みたかった。  《ありがとう!助かります!じゃあ振り込み先を打ちますね》  この時、聡子は何となく肌で感じた違和感には両目をつぶってしまった。
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