-2-

23/40
前へ
/40ページ
次へ
「確かにお似合いなんだよなー、あいつら。 実は隠れ天然同士だから、リズムが合うんじゃね?  ツッコミ役がいないのがちょっとアレだけど、まあ、そこは必要があれば俺が後ろからスパーン、と」  楽しげな俊輔の声は、まるで知らない人のもののように遠く聞こえていた。  返す言葉を見つける気力もなく、わたしが作る不自然な間だけがその幅を広げていく。 「─どうした? 亜優」 「……」  わたしは黙って首を横に振ることしか出来なかった。  膨らんだ黒い感情は雨雲のように広がり、胸いっぱいに重く垂れ込めている。  何か言ったら、たちまち大粒の雨が降り出してしまいそうだった。 「おい。……亜優? ……おーい、亜優ちゃーん?」  俯いたまま、無理に笑顔だけ作ろうとした時、握りしめた手の甲にぽとりと滴が落ちた。 「……亜優」
/40ページ

最初のコメントを投稿しよう!

658人が本棚に入れています
本棚に追加