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変な気の遣い方に笑いながら、
「どうだった? おいしかった? イタリアン」
「めちゃめちゃ美味かった。特にパスタな」
「へえ」
「お前にも食わせたかったよ。
今度、章ちゃんも連れて一緒に行こうぜ。
少し遠いけど、わざわざ行くだけの価値はあるからさ、マジ」
「そんなに?」
わたしもイタリアンは好きなので、そこまで言われると俄然興味が湧く。
「……行ってみたい。どんな料理があるの?」
「鶏肉の何ちゃらとか、何ちゃらのポタージュとか。
三人で違うパスタを頼んで分けっこしたんだけど、とにかく全部美味かった」
「どんなパスタ?」
「んーと、赤いのと白いのと、緑の」
「トマトとカルボナーラとジェノベーゼかな」
「いや、……違うな。確か─」
俊輔は視線を左上に向けて考えてから、
「忘れた。丁寧に説明してもらったけど自分の腹の音で聞こえなかった」
「もう……」
「拓己なら覚えてるだろうけどなあ。
……やべえ、なんか俺も気になって来た。
何だっけなあ、あの緑の」
俊輔はイラついたように頭を掻きながら時計を見上げた。
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