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「俺たち、大学生になったら東京で二人暮らしするんだ。……な?」 「うん」 「いいなあ。楽しそう」  何だかわくわくしながら、わたしは二人の未来の家に足を踏み入れた。 「亜優、そこ玄関じゃねえから」 「あ、ごめん」  一歩下がり、端まで移動して改めてお邪魔する。 「ここは、リビング?」 「そう。寝転がってテレビが見られるように、三人掛けのソファを置く」 「じゃ、テレビはここ?」 「うん。37型のデカいやつな」 「キッチンは? こっち?」  目を輝かせながら室内をウロウロしていると、傍観していた拓己が足元に落ちていた棒を拾い上げ、中に入って来た。  余ったスペースを少し小さめに区切り、ドアを付ける。 「ここは、亜優、お前の部屋」 「……えっ」  わたしは驚いて拓己の顔を見た。
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