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「そんなに警戒しなくても。 別に『うちで待ってたら?』なんて言わないよ。 見ず知らずの子ならともかく、隣の家の娘さんを連れ込むわけにはいかないし」 「あ、……すみません、そういうつもりじゃ……」 「いや、いいことだと思うよ。 女の子はそのくらいちゃんと警戒心を持たないと。 本当に悪い奴はこうやってニコニコして近づいて来るものだし、おでこに分かりやすく『悪』とは書いてないからね」 「……」 「だから、書いてないって言ってるじゃん。 おでこ見ないでよ」  額を手のひらで覆う渋い顔が可笑しくて、わたしは声を上げて笑った。  ─面白い人だな。  今までほとんど関わることはなかったけれど、こうして直接話してみると、俊輔が懐くのも分かる気がした。
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