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「俊輔でも帰ってくればなあ。 安心してバトンタッチするんだけど。 どこで遊び呆けてるんだか」  酒井さんはモッズコートのポケットから携帯灰皿を取り出し、すっかり短くなったタバコを挿し込んだ。 「……今日は、遅いと思います。 横浜でごはん食べて来るって言ってたから……」 「そうなんだ。なるほどね。 自転車借りようと思ったらなかったから、今日はやけに遅いなとは思ってたんだけど」  酒井さんは腕時計を確認して、ちらりとこちらを見た。 「もしかしてあいつ、別の女の子と一緒とか?」 「……えっ」 「いや、……なんか。 君がやけに悲壮感漂う言い方したから。『横浜でごはん』のあたり」 「……」 「ああ、ごめんごめん。 嫌なこと言ったかな。今のなし。忘れて」
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