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「なんか、……大変だね」
おでこをさすりながら、しみじみと言う。
「何が」
「二人とも目立つから、話題にされやすいっていうか」
「別に、言いたい奴には言わせとけばいいんじゃねえの」
「……そっか」
「そうだよ。大事な相手だけ分かってくれてれば、それでいい」
「……うん……」
何となく嬉しくなって微笑みかけると、拓己は照れたのか、とぼけたように顔を逸らした。
明かり取りの窓から差した長方形の西日がちょうど拓己の髪を照らし、栗色の髪を金に染めている。
その横顔は、見とれてしまうほどきれいだった。
「……きれい」
思わず口に出してしまい、あ、と口を抑える。
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