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 プツッ、という音を立て、放送は途切れた。  少しの間を置いて、ゆっくりと二人の体が離れる。  拓己はわたしと目を合わせず、何も言わずに黙って階段を下りて行った。 『……最後に、一度だけ』  それは、拓己にとって別れの言葉だったのかもしれない。  二人の手が触れ合うことは、もうないだろう。  もうすぐ、拓己にとってわたしは、大切な親友の恋人になるのだから。  背中に涼しい風を感じ、わたしは振り返って窓の傍に立った。  拓己が向かった理系校舎は西日を受け、壁の色をオレンジに変えている。  わたしはこみ上げる想いを断ち切るように、静かに窓を閉め、鍵をかけた。
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