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しょげた様子が可笑しかったのか、俊輔はくすっと笑って、
「じゃ、俺も練習遅れるとやべぇから、行くぞ」
「あ、うん。……ほんと、ごめんね。ありがとう」
ハンドルを切ってUターンし、ペダルを漕ぎ出すところを見送っていると、俊輔が「そうだ」と呟いてさらにUターンし、こちらに戻って来る。
目の前でブレーキをかけると、キィィィ、という耳障りな音が響いた。
「あのさ」
「うん」
「俺、ベンチ入り、決まった」
「……」
あまりにもあっさり言われ、わたしはぽかんと口を開けた。
「ベンチ入り……って?」
「レギュラー獲ったってこと。
……今の、宗方さんのいるポジションに、代わって入ることになった。
まだ内定だから俺しか知らないけど、たぶん今日の練習で部内に発表されると思う。
予選が始まるのがもうすぐだから、そう遅くないうちに」
「……」
「なんだよ、喜んでくんないの」
わたしが固まっていると、俊輔が拗ねたように言った。
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