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『─簡単には渡さない。 俺だって、今まで呑気に遊んで来たわけじゃないから』  確か、受験を控えた三年生にとっては今回が引退前の最後の大会だったはずだ。  ─今までトップでがんばって来たのに、最後にユニフォームを着られないなんて……。  先輩が自分が降ろされたと知った時のことを思うと、胸が痛んだ。  その時、急に日差しが陰ったような気がして、わたしは空を見上げた。  ─また、雨降るのかな。久しぶりに晴れるかと思ったのに。  さっきまで薄曇りだったはずの空には、いつの間にか灰色の雲が広がり始めていた。
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