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「そういえば。予選て、もう終わったよな。……どうなった?」
「二回戦で、負けちゃった」
「え。マジで」
「俊輔のとこには今まで通り宗方先輩が入って、チームも俊輔のためにがんばろうっていう雰囲気だったんだけど、……けっこうひどい負け方しちゃってた」
「うわー、そっかー。あー、残念」
俊輔は自分のおでこをゴシゴシと擦った。
「─せっかくレギュラー入り出来るはずだったのになあ。
せめて一度くらいはピッチに立ちたかったなあ」
悔しそうに言って、後ろに手をついて天井を仰ぐ。
「わたしも観たかった。俊輔が出る、試合……」
「……」
俊輔の顔が、悲しそうに曇った。
「ごめん。見せてやれなくて」
大きな手が伸びてきて、指先が遠慮がちに頬に触れた。
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