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「駄目だ。散ろう!」
「おう!」
「解った」
暗闇を駆け抜ける3人の影がバッと3方向に別れる。
そして、3人を追う影も3方向に別れた。
詩織、佐武郎、藤五郎は、殿の命令でとある城に侵入し
密書を盗んだのだ。
盗むまでは、良かったのだが、逃走時にしくじり兵士に気付かれてしまった。
向こうの城とて忍を雇っていたらしく、追っ手が
人数は6人
向こうの方が多い
その為、佐武郎の合図に分かれ、人数を拡散させる手段に出た。
密書を手にしている佐武郎は、わざと山道から反れ
木々の間をすり抜けて逃げる。
しかし、向こうも手練れ
なかなか巻けない。
「くっ…」
向こうの投げた手裏剣の1つが佐武郎の腕を霞めた。
佐武郎もケナイを投げて応戦しつつ走る。
そして何度かトリノコを投げて煙幕を上げ、翻弄した。
何とか向こうの忍を巻いた時には、森の深くまで入り込んでしまっていた。
「くそ…どこだここ…」
佐武郎は、眉を寄せ、空を見上げる。
北斗七星を確かめる為だ。
「北があっちか…」
方位を確かめ、城に戻ろうと足を急がせる。
先程から息が苦しい、汗が止まらない
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