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「横槍ッ!」
「ぼなんざっ!?」
一瞬の出来事であった。ヤンキーが鉄パイプを振り上げようとした、わずかコンマ一秒程度の瞬間に小柄な人影が、ヤンキーの脇腹に拳を突き出していた。
突然の一撃にヤンキーは反応できず、そのまま横っ飛びに吹っ飛ばされた。そして、派手な音をたてて壁に激突して泡を吹いて気絶した。
「兄さん、ナイス。…いつからいたんですか?」
「最初からだよ。…にしても、やれやれだね。『転校生の歓迎会準備』に加えて、『他校からの刺客の排除』だなんて。…『便利屋』だからって酷使し過ぎだよ。」
「…他校から刺客くるなんて、70年代の不良漫画ですか、この学校は?」
「知らんな。」
少年に『兄さん』と呼ばれた人物はケラケラと笑いながら伸びをする。
背中まで伸びた銀髪に小柄な背丈、未だに声変わりのないロリータボイスに極めつけは幼い少女のような可愛らしい顔立ち。
一見すれば極上の美少女のような見た目のこの人物、名を浦雪行太(うらゆきこうた)と言い、れっきとした男である。
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