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この家に居候を始めてから二日目の朝、またもや“あの気配”を感じ、体を起こした。
隣の部屋で寝ていた月影は、“彼”の部屋へと急ぎドアを開けると、そこには人型の黒いモノが浮かんでいた。
それは今にも飛鳥を呑み込もうとしているところであった。
「おい、テメェッ......!」
捕縛対象の存在だと気が付いた月影は、すぐさま鎖を出現させしゅるりと対象を捕らえた。
が、それは一瞬のことであった。
『ガガッ......ヴヴヴ......』
黒いモノが呻き声を挙げたと同時に飛鳥の中に入っていくのを、ただ呆然と見ることしか出来なかった。
一体何が起きたのか信じられない状況である。
「はっ......昨日のもこれかよ......」
「ん......んーっ......」
ぽつりと呟くと、まるで食べ物を食べて満足したように体を起こす飛鳥が目に映った。
「どうしたんですか、月影さん。そういう気があったんですか?」と朝から通報されそうな気がして、慌てて首を横に降った。
「いや、違う......決して違う!」
「......」
無言が怖いと思いつつ、先程のことを少し訊ねてみる。
「お前......何とも無いか?」
「何がですか?」
「腹の調子とかよ......」
「至って普通ですけど」
「そうか、それなら良いが......」
一呼吸を置いてから飛鳥が「強いて言うなら」と呟いた。
そして、怖い夢を見たぐらいですかねと続けた。
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