プロローグ

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と、まぁ、毎朝こんなことを考えながら、学校へ行く支度をする。 ベッドの脇にある鏡台の前に置いてある丸い背もたれの無いイスに腰掛けると、鏡に私の姿が映る。 客観的に、そして小説的に描写するとしたら、肩まである変に癖のついたボサボサの黒髪に、同じく黒い焦点のぼけた奥二重の瞳、形を整える程度に手入れした眉、夏に日焼けした名残の残るほんの少し荒れた黄みの強い肌、顎を引いてしまうと顎下の肉が寄って、二重顎の完成。 どうみても可愛くはない、とっても不細工、というわけでもない、と思いたい。 もし私みたいなのが主人公だったとしたら、物語は始まらないし恐らくすでに終わっている。 ボサボサの髪は櫛も通りにくくて、絡まって千切れた髪が床に落ちる。 掃除しなくちゃとも思うけど、時間は結構ギリギリだから、帰ってきてから掃除はすることにして、無造作に脱ぎ捨ててあった制服を摘まみ上げ、冬の朝特有の寒さに身を震わせながら着替えていく。 嫌でも視界に入る下腹は、その上にある胸と同じくらい出っ張っていて、正直自身のスタイルの悪さにこっそり溜息を吐くと、覆い隠すようにセーラー服を身に着けた。 財布と携帯くらいしか入っていない鞄を持つと、既に家族は仕事に行っていていないようで、物音一つしない我が家を後にした。
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