プロローグ

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家から一番近いという理由で高校を決めただけあって、我が家から学校は歩いて10分くらいの距離だ。 10分でも何もせずに歩くというのは案外つまらないものだし、正直言えば学校へ行くのはとても億劫なので、私は妄想を始めた。 例えばここで、私は飛び出した子供を庇って車に轢かれ、実はまだ死ぬ予定ではなかったから神様に異世界に転生させてもらったりして。 で、何の力もないとまたすぐ死んでしまうから、何かしらの力を貰って、そこでかっこいい男の子、例えば勇者とかに出会って恋に落ちたりして。 友達も出来て、今まで出来なかった青春なんか感じちゃったりして…。 まぁ私は無神論者なわけだけど。 そろそろ学校が見えてくる。 ここまでくると、私と同じセーラー服を着た少年少女たちが何人かで固まっておしゃべりしながら歩いている姿があちこちで見られる。 私はどんどん気が重くなって、俯いたまま脱履所に向かう。 この学校は学年ごとに脱履所が違う場所にあって、3年生の脱履所が一番校門に近い場所にある。 脱履所につくと、私は自分の靴箱を無感情に見つめた。 ”鈴木 真琴” 私の名前のプレートは真っ赤な色で塗りつぶされている。 まぁ遠くから見るとよく目立つから特に支障を感じたことはない。
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