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ずっと若い頃はもっと苦しかった。
幼い直人を寝かせいつ帰るかわからない勇人を待つ時間。
直人の世話でたいていはひどく疲れていて眠ってしまったが時々眠れない夜もあった。
ひとりで不安で寂しかった。
眠りにつくためにセックスがしたかった。
体は心より正直に寂しさを嘆き続けた。機嫌が悪い時の子供のように執拗になんとか慰めて欲しいと。
どうしようもなくて自分で慰めた。
勇人が恨めしかった。今勇人に抱かれている女を心の中で刺した。嫉妬の炎で自分の情念も燃え尽きてしまえばいいと願いながら。
体がやっとその貪欲な要求を満たして悲鳴をあげるのを止めると心が涙を流した。
心の涙は静かに続いていた。
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