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今はもうかつてのような苦しみから解放された。
真理沙はもう勇人を求めてはいない。
ただ寂しさだけはいつも消えなかった。
直人が子供の頃、添い寝して子供の温かい体を包むように抱きかかえていると安心して眠れた。
まだ子供が母親を必要としてくれた頃。
今はもう夫にとっても子供にとっても真理沙はよりどころではないのがたまらなく寂しく思える時があった。
温かい家庭。
そんな言葉とはかけ離れた寒々しい家。
それが真理沙のいる場所だった。
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