売ってしまえる物

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「ねえ、これ良くない?」 「どれ?」 「これ。かわいい。」 莉乃のまだ日焼けしていない白い胸元に淡い薄紫色が映えた。 「それ、オリジナルね。彼氏の、あるよ。」 販売員がペアらしきメンズのデザインのネックレスを柾生に出して見せながら片言の日本語で言った。 「それ、オリジナルデザインね。安いよ。高くないね。こっち、彼氏のね。お揃い。いいね。」 現地人のスタッフが莉乃と柾生を交互に見て笑いかけた。まだあどけなさが残る顔立ちに濃いメイクをしている。 「彼氏カッコいいね。」 販売員は柾生に見とれたみたいにニコニコ顔で話した。 「カッコいいね。似合うよ。それ。オリジナルね。」
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