売ってしまえる物

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「俺もするの?」 柾生がするにはキザったらしい気がした。以前の柾生なら好んでしたかもしれない。 でも莉乃とつきあうようになっていろいろ変わった。 特にファッションについては莉乃に合わせるように莉乃が選ぶまますっかり変わった。 だんだん柾生自身の趣味も変わってきた。 「いいじゃん。お揃いでしようよ。ね。」 莉乃は片言の日本語の販売員に見せつけるみたいにあからさまに柾生に甘えてみせた。 「柾生、ね?お揃いにしよっ。記念に。私これがいい。」 莉乃はネックレスを片手で取って柾生の目の前でゆらゆら揺らしながらもう一方の腕を柾生に絡めて上目遣いに見上げた。 腕に当たる莉乃の柔らかい胸の感触に不純な動機が沸いてきて柾生はチープなネックレスなんかどうでもいいような気分になった。
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