凍える夜に

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「でも大丈夫。」 奈央は通り雨みたいに一瞬涙を浮かべたと思うとたちまちスカッとした表情を見せた。 「今は苦しいけど。でもわかってる。時間が解決してくれる。時が経てば。痛みに慣れる。鼻が慣れてしまうみたいにね。」 奈央は自分を慰めるみたいに笑った。 真理沙は何も言えずなすすべもなくただそんな奈央を見ていただけだった。 「奈央は強いね。」 「強くないよ。強がってるだけ。」 「うん。強がれるのは強いんだよ。」 「さ。次の恋でもしようかな。ね?年下のイケメンくんとでも。」 「奈央、そんな気分じゃなかったよね。ごめん。場所変えようか?約束したわけじゃないんだし。」 真理沙は気が咎めた。二人だけでいろいろ話すなら門倉が来ないうちに店を出たほうがいい。
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