あの人は私のもの

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ランチシフトが一緒の時、莉乃のほうから愛美を誘うことはなかったのに愛美はシフトを確認するとほとんど必ず莉乃についてきた。 今日のランチにも愛美はもれなくついてきた。 愛美は抜け目ない。愛美自身は契約社員だったから社員の莉乃と行動を共にすることでクライアントの人脈が広がると思っているらしかった。 実際には愛美のほうがクライアントの社員についてはずっと詳しかった。まだ勤続日数にしたら数ヶ月だというのに愛美の情報網たるや舌を巻くほどだった。 とくに男性社員の情報。 愛美の頭の中を覗いたら端から端まで男、男、男って漢字で埋め尽くされているに違いないと思いながら莉乃は愛美の話を聞いていた。 口を開けば男、男。 ランチの度に前夜の男の話、本人曰わく男遍歴の武勇伝を聞かされるのには莉乃だけでなく他のメンバーも皆うんざりしていた。 愛美は他人がどう思おうがまったくお構いなしだった。 「私、絶対ここの社員の人とつきあって結婚します。」 そう言ってはばからなかった。 
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