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こうして話している間も……
愛美は落ち着き無くキョロキョロとあちこち視線を巡らすことに余念がなかった。
フォークをウィンナーにぶすりと突き刺しながら隣のテーブルに座る男性を素早く値踏みしていた。その動作はなんだかすごく下品に莉乃には感じられた。
「彼氏欲しいなぁ。」
サラダの中身をフォークでぐるぐるとかき混ぜるようにしながら愛美は言った。
「私も~。でもマナは男には不自由してないんでしょ?」
愛美のいつもの台詞を真似て磯谷梨央が言った。
「それはそうですけど。」
愛美はミニトマトを口の中で頬の片側に寄せてしゃべっていた。噛んでから話せばいいのに、まるでおたふく風邪みたいだと莉乃は思った。
「あー。松本さん笑った~。ひど~い。」
「笑ってないよ。ほっぺたがおたふく風邪みたいだと思っただけだよ。」
「かわいくて思わず笑っちゃったんですね。」
「はいはい。」
愛美には苛々を通り越して呆れて疲れてしまう時がある。
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