凍える夜に

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「この前教えていただいたお店、これから行ってみようと思って。そこの裏入った所ですよね?」 真理沙は腰をほんの少し浮かせて窓の外を指差した。首に当てられたタオルの熱がじんわりと効いて気持ちいい。 「ああ、『であいもの』ですか?そう。そこ入ったとこですよ。」 美容師の門倉洋輔は真理沙が指差した窓の外に目を向けながら答えた。 前の職場の飲み会のあの日にカットしてもらって以来、ここの美容室に来るのは三度目になる。 「お店のご主人、お友達って。」 「そうなんですよ。何度か通ううちに親しくなって。これから行かれるんですか?」 「友達とね。行ってみようと思って。予約とかいります?」 「いや。そんな肩の張るような店じゃないですよ。オススメです。宮内さんが行くなら俺も行こうかな。」
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