あの人は私のもの

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「いいなぁ。松本さんは彼氏いて。」 愛美が心底羨ましそうに言った。 「どんな人ですか?芸能人だと誰みたい?」 「さあ。誰だろう?あまり誰にも似てないよ。」 最近、柾生のことを男として意識したことはない。もちろん一緒に暮らしているし時にはセックスだってする。 時には? そう。時には、だ。 でも……この前いつしたのか思い出せない。 まだ若い女だしもちろん性欲がないわけではない。月の物の関係とかですごくしたい時だってある。 でもそんな時でも別に柾生とセックスしたいわけではない。ただ男が欲しいだけだ。 同棲を始めたばかりの頃はほとんど毎日体に触れ合っていた。四六時中、欲しいと思えば、いや莉乃が思わなくても柾生が思えばすぐにキスが始まった。 自分で自分の目が欲情に潤むのがわかった。 そんなことを思い出していた莉乃は急に我に返った。頬から耳がカッと熱くなった。
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