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今日は友人の奈央と二人で会うことになっていた。昨日久しぶりにメールが来て急に会うことになった。
真理沙は特に予定もなかったし勇人は相変わらず毎晩遅く最近では家で夕飯を食べることはほとんどない。
直人もそうだ。友人だか彼女だかの家に泊まることも多い。そのくせ、突然帰って来て食べるものが無ければぶつぶつ文句を言う。
だから家には常備菜の類がいくつか冷蔵庫に用意してあった。ご飯だけはいつでも食べられるように炊いてある。
今日のように友人と会ったりしない日には真理沙はそんな質素な夕餉を一人でささっと済ます。
勇人はここ最近のように連日極端に遅くならない時でも接待やら残業やらで夕食を食べない時が多かった。
だから真理沙も待たないで一人で済ませて欲しいと言われていた。
もう一人で簡単に済ます夕餉もわびしいとは思わない。人間は痛みとか寂しさとかいう感情にある程度は鈍感になれるものだ。
辛い感情には鈍くなるに越したことはない。
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